前立腺生検

前立腺生検とは前立腺に癌があるかないかを確認するための検査で、細い針を前立腺に刺して組織を採取し顕微鏡で癌の有無を調べます。前立腺癌はPSA(前立腺特異抗原)という血液検査で異常値の場合に疑いが生じます。前立腺に針を刺す経路には2種類あり、肛門から直腸前壁を通り前立腺に達する経直腸式と、陰嚢と肛門の間を通り前立腺に達する経会陰式です。当科ではどちらの方法でも検査可能で、患者様の状態により担当医が判断いたします。また両者を併用する立体生検(3D生検)も行っています。この立体生検は一度生検を行って癌が発見されなかったがその後もPSAが上昇し、癌の疑いが強い患者様に対する方法としいて優れており、当科では積極的に行っています。生検を行う場合1泊か2泊入院が必要です。麻酔は仙骨麻酔または腰椎麻酔で行いますので、前立腺に針を刺すときの痛みはありません。合併症は針を刺すことによる出血(血尿、直腸出血)が起きますが軽微で、また細菌による感染症は抗生物質内服により予防します。

 

前立腺癌

前立腺生検により癌と確定した場合、CT・骨シンチグラムなどを行い転移の有無を調べて癌の進行度を判断します。治療方法には手術、放射線療法、ホルモン療法がありその中から患者様の病状に合った方法を選択します。また、癌が小さく悪性度が低い場合治療を行わずに経過をみる、無治療経過観察という選択肢もあります。手術の方法も様々で、最近ではロボット支援手術が始まりました。当院でまだロボット手術はできませんが、希望される患者様には治療可能な病院を紹介いたしております。また放射線療法には様々な種類があり、患者様の希望も考慮しつつ最適な治療を選択しています。

 


尿路結石症

尿路結石症に対する治療は、薬物療法、体外衝撃波による結石治療、内視鏡治療があります。どの治療を行うかは結石の位置、大きさなどにより担当医が判断いたします。体外衝撃波による結石治療は腎結石であれば1泊2日、尿管結石であれば2泊3日で行っていますが、破砕されない場合は内視鏡治療への変更を考慮いたします。

 


膀胱癌

膀胱癌に対する治療には手術、抗癌化学療法、放射線療法があります。

  1. 手術;内視鏡を用いた膀胱腫瘍切除術、開腹による根治的膀胱全摘除術があります。癌が浅い場合は内視鏡手術、筋層まで浸潤している場合は膀胱全摘除術を行います。
  2. 抗癌化学療法、放射線療法
    癌の進達度、悪性度からこれらの治療を行うか判断します。手術前や手術後に行ったり、放射線療法を併用することもあります。抗癌化学療法を行う際は。原則として入院を要します。

 


腎癌

腎臓にできる腫瘍はほとんどが悪性腫瘍、腎癌です。腎癌が発見されるきっかけは以前は血尿やお腹の痛みなどの自覚症状でしたが、最近は人間ドックや検診などにより小さな腎癌が発見されることが増えています。腎癌治療は手術がまず必要で、お薬による治療は進行した場合に行います。手術には開腹手術、腹腔鏡手術などがあります。

 


前立腺肥大症、過活動膀胱など

 様々な下部尿路症状を起こす疾患で、薬物療法、肥大症に対しては場合により内視鏡手術を行います。

 


新しい前立腺がん診断システム;MRIガイド下3D経直腸超音波による前立腺生検


①前立腺生検とは?

 前立腺がんはPSA(前立腺特異抗原)という血液検査により発見されます。PSAが異常値の場合、前立腺から組織を採取しがん細胞の有無を診断します(前立腺生検といいます)。方法は、検査の前に麻酔を行ったのちに超音波の器機を肛門の中に入れ、細い針を前立腺に刺して組織を採取し、顕微鏡でがんの有無を調べます。針を穿刺する経路は2種類あり、経直腸式(肛門→直腸前壁→前立腺、の経路)、と、経会陰式(陰嚢と肛門の間→前立腺、の経路)です。どちらの経路で行うか、また針を刺す回数(8~20本)は担当医が判断いたします。この検査を行うには1泊または2泊の入院を要します。前立腺生検は比較的安全な検査ですが、危険性がないわけではありません。しかし重い合併症は稀です。具体的な合併症は、①尿や肛門から血が出ること、②前立腺に針を刺した場所から細菌が入り熱がでること(重症の場合敗血症という状態になることもあります)、③尿が出せなくなること、などです。血液を固まりにくくする薬(バファリン、バイアスピリン、ワーファリン、ペルサンチンなど)を飲まれている場合や痔など肛門の手術を受けたことがある場合は検査を受ける前に担当医にお知らせください。

 

 

②前立腺生検の問題点

 前立腺がんがある場所はMRI(Magnetic Resonance Imaging、磁気共鳴画像)という画像で特定できますが、前立腺生検を行う際超音波で前立腺を見ながら組織を採取するためがんがある場所が見えているわけではありません。そのため時として前立腺にがんがあってもその場所に針が刺さっておらず、前立腺がんではないと診断されることがあります。この欠点を克服するために開発された方法がMRIガイド下3D経直腸超音波による前立腺生検です。

 

③MRIガイド下3D経直腸超音波による前立腺生検とは?

 がんの存在が疑われる場所に正確に針を刺して組織を採取する方法がMRIガイド下3D経直腸超音波による前立腺生検です。まず前立腺生検を行う前に撮影したMRI画像をコンピューターに取り込み、前立腺とがんが疑われる場所を3Dイメージで表示します。次に肛門から直腸内に超音波トランスデューサーを挿入し3D前立腺イメージを構築し、MRI画像と超音波画像をfusion(融合)させます。これによりMRIでの異常部位から確実に組織を採取できたかどうかを生検を行っている最中に確認することができます。この方法で前立腺生検を行うことができる医療機関は本邦ではまだ少なく、当院以外にこの器機で検査ができるのは1施設のみです。


④MRI検査で異常がなかった場合は?
 PSAが異常値でも必ずしもMRIで異常があるとは限りません。しかしMRIで異常がなくても組織を採取するとがんが発見されることはあります。PSA値異常、MRI異常なしの場合、前立腺生検を行うか否かは担当医が判断いたします。前立腺生検を行うことになっても、MRIでがんが疑われる部位がないわけなので、このMRIガイド下3D経直腸超音波による前立腺生検の対象にはなりません。